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近鉄バス百科 近鉄バスの概要・歴史篇5

近鉄バスの歴史・1980年代


冷房車登場

 1980(昭和55)年、近鉄バスも路線バスに冷房車を導入しました。このときの新車は、同時に前面・側面の方向幕を大型化して行き先が見やすいようになりました。
 従来の路線車も、1982(昭和57)年から1976年式以降の車両に冷房化改造を実施し、旧塗装車(茶バス)は非冷房、現行塗装車は冷房付きに分けられるようになります。冷房化は1990(平成2)年秋に完了します。

赤字に転落

 近鉄バスの利用者は、1970年に年間8390万人の利用者があったものが、10年後の1980年には5681万人へと2/3にまで減少します。結果、1983(昭和58)年には赤字に転落、その後は黒字に転換できなくなります。利用者はその後も年間3〜7%づつ減少、1990年には3623万人になります。
 なお、施設としては1984年12月に上本町駅2Fの駐車場内にバス10台を収容することの出来る、バスターミナルを設置、上本町駅南側にあった観光バス案内所を移転させて、上本町バスセンターとしてサービスを開始しました。
 一方、名神高速バスを運行してきた子会社の日本高速自動車は、1983年6月に名古屋近鉄バスに吸収されて名阪近鉄高速バスに商号変更、さらに1994(平成6)年に高速の文字を取って名阪近鉄バスに再度変更されています。

路線バスに新サービス

 路線においては、1980年11月に大阪市営地下鉄谷町線が開業したことで、大阪市平野区内を中心に路線を削減するなどの再編をおこなったほか、美原町にさつき野住宅が建設され、ここと松原駅を結ぶ路線も開設されます。
 また、鉄道とバスの有機的結合を目指し、1980年10月からは近鉄電車の各駅で接続するバスへの連絡定期券を発売開始します。これは近鉄電車とバスの定期を1枚で兼用するもので、バスは1区、2区、均一制区間を対象にしていました。また、1983年10月には学期定期券、持参人式定期券、高割引回数券も発売します。
 1982年10月、山間部の狭隘路線である堅上線国分駅前〜雁多尾畑間で、対向車に接近を知らせるメロディバスの運行を開始します。これは奈良交通でも実施されているものです。また、一部の車にバックカメラを搭載するようになります。
 1983年には、小阪・八戸ノ里駅前発着の路線で、バスの接近や発車時刻などを把握、案内するバスロケーションシステムを導入します。これはバス停ポールには接近表示を、駅構内には発車時刻を表示するモニターを設置、バスを利用しやすい環境づくりも行っています(のち、この地区での運用は廃止、現在は八尾地区で一部運用中)。
 運賃制度は、乗客の減少などを背景に運賃区界の変更を1987(昭和62)年に実施、初乗りに半区を設定するなど、細分化を行っています。
 さらに、1986年に近鉄東大阪線、1990年に地下鉄鶴見緑地線の開業で路線の廃止や削減を含めた再編を行っています。

車両の一新

 これまでの日本のバスは、航空機の技術を応用した、応力外皮構造(モノコック)でしたが、窓が小さい、リベットが必要でデザイン上の制約もあるということで、1977年に欧州の技術を導入して、骨格で車体を支えるスケルトン構造のバスが日野自動車から発売されます。さらに、1980年には中型バスにも採用され、バスのボディは角張ったものへと変化します。近鉄バスもこれに呼応して、中型バスからスケルトンバスを導入、1983年からは大型路線・観光バスもスケルトンに移行しています。
 観光バスでは、1982年に2階建てバスの試作車を採用します。これは路線バスへ導入することを目的としていましたが、実現していません。その後、1985(昭和60)年に本格的な2階建て観光バス「ビスタカー」を導入しています。
 また、同年からは観光バスのフルデッカー車の導入、さらに1986(昭和61)年にはサロンルームを持ったスーパーハイデッカー車も3台導入されます。
 1986年、運転士の運転の負担軽減を目的に、電子制御の機械式AT「EEドライブ」車を、国内で初めて導入、以後1994年まで導入を継続します。また、車両のグレードアップを行い、観光バス並みのカーテン装備など、従来にくらべ格段に良くなっています。  

高速バスの開設と拡充

 1980年代半ばになると、各地で夜行高速バスが開設されます。年々値上げされる国鉄運賃よりも低廉で、設備も良い、車両も昔とは大きく変わったことで、利用者の心を掴みます。
 近鉄では、1988年7月8日から、上本町バスセンターから熊本交通センターまで743kmを、熊本を本拠とする九州産業交通と共同で、夜行高速バス「サンライズ」(右写真)を運行開始します。11月11日にはあべの橋バスステーションが開設されて、南大阪線沿線からも利用しやすくなります。以後、1990年までに長崎、横浜、埼玉、東京・新宿、宮崎、鹿児島、仙台、大分、山口・萩、八王子、延岡への路線を相次いで開業しました。

サンライズ号。3列独立シートを採用。

参考資料:近畿日本鉄道80年のあゆみ/最近10年のあゆみ、バスラマインターナショナル(ぽると出版)、鉄道ジャーナルほか 
(最終更新:2003.8.31)

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